2008年5月23日〜25日
アウト・オブ・アース!ビッグアイランドスペシャルツアー

みんな揃って島流し〜!されてきた伊豆大島ツアー。
前人(マウンテンバイク)未到のトレイルや、地球外規模の景色、走る!走る!走る!とコレでもかのシングルトラック、そしてハプニングと内容てんこ盛りだったツアー。
その模様を武井さんがリポートしてくれました。


※写真をクリックすると拡大します。

5月23日
これまでTTSのツアーには何度か参加させていただきましたが、今回は海を渡り伊豆大島へ! 私も大島は初めてで出発の朝からワクワクしっぱなしでした。
集合時刻の20:00に竹芝桟橋に集まった今回の参加者たち。最近のフリーライドバイクを輪行袋に収めるのに苦戦しながら、出航に備えます。
22:00にいよいよ乗船、出航です。席を暖める間もなく鳳凰の間(デッキのことです)で宴会開始です。横浜から乗船した参加者も加わって、自己紹介のあとは宴会round2です。こうしてツアーへの期待を胸に夜は更けていくのでありました・・・。

5月24日
朝5:00。楽しいことが待っていると早く目が覚めます。デッキに出て冷たい風と朝日を浴び、気分もすっきり。ん、朝日? やった、晴れてるぞ!
降水確率90%の事前の予報も何のその、薄曇りながら明るい空のもと、大島に上陸するTTS一行。今回のツアーのベースキャンプとなるロッジ泉の家の古谷さんが迎えてくれました。
泉の家で朝食と着替えを済ませたら、いよいよツアー開始です!
ツアーガイドは房総で「房総トレイルヘッド」というツアーガイドをしているモガジイこと茂垣さん。大島をこよなく愛し、廃道を切り開いて大島町公認トレイルとして利用できるようにしてくださった方です。ありがたや、ありがたや。
1日目のコースは、三原山を目指す登りから始まります。路面は火山礫でふかふか。砂浜を走る感覚ですね。コギが重い・・・。ラインの選び方とペダリングの両方を要求される難しい登りです。この砂漠エリアはよく火星と呼ばれているようですが、今回はあちこちに植物が生えていて、不思議な光景。
ようやく辛い登りを終えた我々TTSツアー一行を待っていたのは、大地に開いた巨大な割れ目。「大島キャニオン」と呼ばれる断崖絶壁です。赤く錆びたような斜面の向こうには大島の緑豊かな大地と海。地球が丸く見える絶景ポイントです。

さて、ひとしきり大島キャニオンのパノラマを楽しんだあと、いよいよ下りです。
・・・と思った矢先のことです。
気がついたらハジメさんが転倒していました。呼吸は浅く、痛みに声も出ないまま地面に横たわっています。どうしたのハジメさん!?
どうやら砂地にフロントを取られて予期しない転び方をした模様。10分以上そうしていたでしょうか、やがてゆっくりと身体を起こして左肩の動きを点検。一応腕は上がるようですが、「肋骨やったかも・・・」。
ゴジラの怒りか貞子の呪いか!?
(筆者注:大島はゴジラが現れた場所であり、「リング」の貞子の生まれた場所でもあります)
それでもさすがはハジメさん。バイクにまたがると砂漠の斜面を下り始めました。砂の路面は、登りも難しいけれど下りも難しい。中腹以降の樹林帯に入るとトレイルの雰囲気は一変。路面も締まって走りやすい。長ーい下りを存分に楽しんだらお昼ご飯です。
ハジメさんはトモさんに連れ添われて医者へ。我々は舗装路を移動して温泉へ。温泉施設で汗を流して泉の家に向かう頃、雨がポツポツ降り始めました。

泉の家に戻ったあとは、ハジメさんのレントゲンをみんなで診断したり(左の鎖骨、肋骨がキレイに折れちゃっていました)、肉&魚&くさやのBBQで空腹を満たしたりして1日目は終了です。しかしこの日の戦いはまだ終わっていなかったのです。

番外編:真夜中のバトル
AM1:00。翌日のライドにそなえて早めに就寝した我々だったのですが、耳元に響く「プーーーン」という羽音とともに猛烈なかゆみが。しばらく我慢していたのですが、どうにも我慢できない!と思ったら、「蚊がいるよね・・・」との声が。みんな同じ状況だったのね、というわけで夜中の撃墜戦が始まりました。4人の男が夜中にパッチンパッチン蚊を叩くシュールな光景が繰り広げられたのでした。ベープがあったのはこういうわけだったんですね。

5月25日
昨日の夜から降り続いた雨は朝になっても降り止まず、2日目は雨の中のツアーとなりました。少々寂しげなハジメさんを置いて、意気揚々と出発するTTS一行なのです(朝食の席で、「どっちにしても痛いなら乗っちゃえば?」というトモさんの発言に、半ば本気になっていたのは内緒です)。
身体を冷やさないようレインウェアで完全武装して、まずはスタート地点まで車で搬送。いやー、真っ白な靄がかかって幻想的です。
1本目のトレイルは、モガジイ曰く、つい最近切り開いたばかりのヴァージントレイルとのこと。光栄です!
切り開いたばかりということで、ところどころに切り株のトラップがあるのでそれだけ注意しながら走ればOK。道幅がちょうどバイクの幅ぎりぎりでよくできたコースだなぁ。もう少し人が走って路面がしっかりしてきたころにもう一度走りたい。
2本目は大島町公認トレイルの岡田フォレスト。このコース最高です。難易度はそれほど高くないけれど、縦の動きが多くて面白い。普段トレイルライドしている地元のコースとは土質がだいぶ違って、大島の路面はウェットでもちゃんとグリップします。これがもう楽しくって思わずスピードが出ちゃいます。雨も泥も関係なく、みんな笑顔です。雨中のライドって何となくハイになってしまいますよね?
最後は泉の家のすぐ近くから始まるご機嫌なトレイル。このころには雨も上がり、日が射してきました。海を横目に眺めながら気持ちいい風に吹かれてのんびりライド。トレイルのゴール地点からはすぐ泉の家に戻れます。こんなに近くにトレイルがあるなんてMTB乗りには最高の宿ですね。これにてライドは終了。
ツアーの最後のシメに泉の家特製くさやピザをいただき、バイクを洗って帰り支度です。14:00すぎの船で帰路に着きました。いつまでも手を振って見送ってくださった泉の家の古谷さんご夫妻、お世話になりました。もちろん、帰りの船上でも鳳凰の間で宴会です!

2日間を通して、ハードテールからXCフルサス、フリーライドバイクまでどんなバイクでも楽しめるコースでした。初日は天気にも恵まれてスケールの大きな景色も楽しめたし、2日目は雨は降ったけれど最高に楽しいトレイルライドを満喫できました。ガイドのモガジイ、ありがとうございました。そしてハジメさん、お大事に?


== SPECIAL THANKS ==
Written by Wataru Takei
Photo by Wataru Takei, TTS